<『商業界』‘2001年1月号掲載>
今回でこの連載は終了するが、この一年間でなんらかの成果を上げられただろうか。ネットショップを立ち上げたが、残念ながら十分に成果を上げられていないショップもあることだろう。今回は、そういうショップのために、一年の総まとめも兼ねて、見直しのポイント、実施してほしい具体策を述べる。
まず、どのような規模の企業であれ、ネットを立ち上げるのに、社長の役割は重大である。ネットショップというと、ホームページを自分で作成しなければならないと考えてしまう。そこで、従業員に任せっぱなしになる。
ホームページを、社長が自分で多少なりとも作成できれば、それはベターではあるが、絶対条件ではない。それよりも、社長にやって頂きたいことは、他にいくつもある。今回は社長の仕事をまとめてみた。
ネットショップを、最初、店を開店したときの気持ちで開く。これが最も重要なことである。最初に実店舗を開いたときを思いだし、以降のポイントを見て頂きたい。
まず、たくさんのページを見ただろうか('00年3月号)。これは、最初だけでなく、自店のサイトを立ち上げた後でも、繰り返し見て欲しい。そして買ってみる。どのようなページが訴求力があり、お客にとって魅力的な運営をしているか。この段階では、徹底してお客の視点で見るとよい。
売れないショップの原因のひとつは、店づくりである。正面に立ってみたときに、どうにも魅力のない入る気になれない店では、どうしようもない。まず、入って貰える店づくりを、改めて考えてみたい。
トップページを軽くするなど、基本的なことは、以前に述べた('00年6月号)。
その中で、最も重要なことは、ページの中にコンセプトが表現されているかである。もし、コンセプトになる文章がなければ、それを作成するのは社長の仕事である。
15〜20字のコンセプトを作成し、トップページの一番目立つ場所に飾って欲しい。「(誰に)、何をどうやって提供するか」。これを、コンセプトの中に盛り込む。「誰に」の部分は、文章の中になくとも、明確に決めてページ作成者に伝える必要がある。
<ショップコンセプトの例>
ショップ名 コンセプトを表現する文章 1stフラワーワークショップhttp://www.1st-flower.com/ あなたの大切なかたへオリジナルフラワーギフトをお届けします。 ボウシ・コム http://www.bousi.com/ 【ボウシ・コム】は1個からオリジナルキャップが作れるお店です。 松阪牛のまるけん http://www.marukenn.com/ 肉の本場松阪からとろける旨さの松阪肉をお届け♪ ハンコヤ・ドット・コム
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ネットショップを開設してから、すべての従業員にネットショップについての説明をしただろうか。
お客が実店舗の店頭にやってきて、あるいは、電話でネットショップの話をしたとしよう。店頭に立っている店員は、パートのこともあるだろう。パートだから、ネットショップと関係ないと思い、話してなかったとすれば、店員は知らない。
お客が、「おたくのページ見ましたよ」と話しかけてきたとする。店員が、「そうですかー」と答えるのと、「そうなんですよ。一生懸命やってますから、そちらもよろしくお願いします」と答えるのと、どれだけ印象が違うだろう。
ネットショップは、ホームページだけではない。実店舗の店頭に立っているパートまでネットショップの一部である。
店員全員に、社長がネットショップの説明をして欲しい。ネットショップを始めたこと。ネットを使って自店がどういう将来像を描いているか。店員にどういう協力をして欲しいのか。
ネットに関わっている従業員は、どこの店でもやる気が見える。ネットは従業員にやる気を起こさせる魔力も持っている。大いに利用すべきだろう。
ネットショップは出しただけでは、お客は来ない。宣伝・広告が非常に重要になってくる('00年7月号)。これも、社長の重要な仕事のひとつである。
どれだけ、広告費をかけるか。印刷物や看板などへのURL掲載を徹底させるか。「楽天市場」への出店なども、費用の問題もあるが、どこに出店するか経営的視点で意思決定すべきだろう('00年12月号)。これも、社長が決定すべき事項である。
また、外部への宣伝・情報提供も社長が率先して行う活動である。実際に顔を合わせる取引先や知り合いに宣伝する。知り合いのマスコミへの宣伝。もし、マスコミに知り合いがいないようであれば、これを機に、マスコミとの密接な関係を強固に築いてほしい。
実店舗であれば、頻繁に自店を覗かない社長は問題であろう。ネットショップも同じである。頻繁に更新されているか。自社のコンセプトに合わないコンテンツ(内容)が、載っていないだろうか。お客の立場に立って見たときに、「これは」と感じるようなまずい表現、運営がないだろうか。
従業員に任せているのであれば、ある程度は任せきることも重要であるが、まったく関心を持たないのは、問題外である。
ネットショップの運営は実店舗以上に大変である。懸命に働いている従業員に労いの気持ちを形にすることも、場合によっては必要である。しかし、最低限、ネットショップが大変であることを理解して結果だけで判断しないことが基本である。
繁盛ショップの優秀な従業員ほど、辞めていくという事実があることも、お知らせしておきたい。
「技術ではモノは売れない」。これは、今までも、あちこちで言われてきたことである。高い技術は必要ない。これは、社長が自身の技術レベルがどの程度であればいいかも含めて、押さえておく必要がある。
現在、電話がかけられるからと言って自慢する人はいない。それなのに、インターネットの技術が多少分かる人間が特別な存在になっている。それは、現在のインターネットの技術が未熟だからである。そう考えて欲しい。
メールだけで商品を売ったネットショップすらある。
最悪、メールだけできればよい。社長も最低限メールだけ送れるようにして欲しい。そうすれば限りない情報を入手することも可能になる。
また、自社のホームページが必要以上の技術を使用したものにならないように気をつけたい。今後、ブロードバンドの登場により、カラー動画も可能になる。間違っても、大半のお客がスムーズに見られるようになるまで、おおっぴらに取り入れるべきではない。
ITの利用は、ネット通販だけではない。クリック&モルタルという言葉で言われるが、実店舗とネットを組合せた利用方法も重要になってくる。
ネットのお客は、実店舗の店頭では言わないような本音を漏らしてくれる。場合によっては、お客が自らページを作り、宣伝までしてくれる。そういう信じられないようなことが起きるのがネットである。
現在、ネットの売上は、大半の場合、実店舗に及ばないことのほうが多い。しかし、宣伝効果を考えると計り知れない効果がある。売上至上主義でネットを判断すべきではないだろう。
また、iモードの普及やネット利用者の急激な増加で、地域密着型の宣伝や特売情報などの配信なども現実的になってきている。
さらに今後は、仕入をネットでという方向も考慮すべきだろう。是非、ネットで魅力的な商品を探して欲しい。また、仕入れ先の情報も入手してみたい。
今後のITは限りない可能性を持っており、ITなくして商売をすることは考えられなくなってくるだろう。
是非、広くITの利用を考え、IT時代の繁盛店を目指して頂きたい。
最後に、一年間のご愛読ありがとうございました。
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