<『商業界』‘2000年11月号掲載>
ネットはよくも悪くも、口コミの世界である。ひとたび、悪い噂が出ると、とんでもないスピードでネットの世界を駆け巡る。
しかし、恐れることはない。ネットのお客は、いい噂も同じように広めてくれる。クレームを恐れてはいけない。
現実の世界でもそうだが、クレームには耳を塞ぎたい。できれば、ないことにしてしまいたい。しかし、クレームこそは宝の山である。
クレームをうまく利用して、魅力あるショップづくりにつなげて欲しい。
現実の世界でも言われることだが、クレームに誠実に応えて貰ったお客は逆に愛顧客になって、いい口コミを広めてくれる。
お客のクレームで、ショップは悪い点が改善できる。一石二鳥である。しかし、不満を持ったお客が必ずしもその不満を口に出してくれるわけではない。不満を持ったまま、去ってしまうお客が、一番怖い。
では、どうすればいいのだろうか。まず、やって頂きたいのは、トップページでクレームを受けることである。クレーム用の大きな書きこみ画面を作り、クレームにどれだけ真剣に取り組んでいるかのメッセージをつける。
トップページで、「苦情・ご意見はこちらに」と小さく書いたメールIDだけのものが、よくある。しかし、書きこみ画面があって、真剣に受け止めるという文章がついているのとでは、お客に与える印象がまったく違ってくる。
図表ー1 『小泉糀屋』のクレームを正面から受けつけているトップページ
クレームは、最優先で即座に対応して欲しい。過去に、ネット上のクレームで大きなニュースになった事件があったが、その原因は対応の遅さが最も大きい。対応が遅れている間にも、お客の怒りは増大する。なぜ、遅くなるのか。対応策を決定できない従業員がメールを受けるからである。
どんな大きな企業でも、クレームのメールは社長が受けるべきである。少なくとも、社長と同程度の決定権を持っている人間が受けるべきだろう。
『岩城真珠』では、クレームが発生した場合、お客の話を聞けるだけ聞くようにしている。その結果、話を長く聞いたお客ほど、優良顧客になるという。
最近は、クレームが大きく取り上げられるせいか、クレームに企業が弱気になりすぎる傾向がある。売ったかも分からないお客にまで、商品代を返すと言い出す企業まで出始める有様である。
実は、ネット上で狙われるショップがある。クレームをつけやすいショップとつけにくいショップである。その違いは、クレームに対する対応を、ウェブ上で明確に表現しているかいないかである。返品を受けるのは当たり前としても、どこまで受けるのかということが、明確に表現されているかである。
衣料品であれば、「洗濯前のもの」、食料品であれば、「到着後何日まで」などが、しっかりと明記されていないと狙われる。
また、クレームがきても、どこまで対応するのか、しっかりと決めておく必要がある。なんでもかんでも、引きうけていたのでは、かえって自信のないショップと思われるだけである。お客は、親切な対応は期待しているが、自信のないショップは望んでいない。
クレームには、様々なものがある。商品に関するもの、通販であることに伴う配送・決済に伴うもの、ネットに特有のもの。それらを分類して考えることにより、対応の仕方も整理できる。
@ 商品に対するクレーム
商品そのものの問題である。商品が悪くなっていたり、不良品であれば問題なく、返品しなければならないが、そうでない場合がある。食品ショップのE店では、最高級の食品を販売している。あるときに最高級の牛肉を販売した。最高の食べ頃ということで、一般のスーパーで販売しているものと匂いが違っていた。お客は腐っていると勘違いしてクレームを寄せてきたのだ。これは、特殊なケースかもしれないが、お客の考えている商品のレベルと、ショップの考えているレベルが違うことがある。それは、ウェブで説明することで、防止できるクレームだ。また、このクレームは受けた時点で、きっちりと説明するべきである。
A 配送に対するクレーム
これは、商品が届かない場合、正常でない状態で届く場合、指定の時間に届かない場合がある。
商品が届かないケースでよくあるのは、マンション名などがなくて、配達員が場所を見つけられらない場合である。ネットショップでは宅配業者がよく使われるが、宅配業者は郵便番号を見ない。見るのはマンション名である。
注文画面は、マンション名を入れるように作ってあるだろうか。
また、配送の途中で崩れ、発送したときの状態で届かないことがある。ネットショップで新しい商品を扱う場合には、最初に遠方の知り合いに発送してテストして欲しい。
テストしても、どうしても起きてしまう変化がある。
『ワイナリー和泉屋』では、夏場のワインの液漏れが避けられない。そこで、お客の理解を得るため、頻繁に出しているメールマガジンの中に断りの文章を入れて理解を得ている(図表−2)
指定の時間に届かないケースは、配送業者を間にはさめば、致し方ないことである。
そのときに重要なことは、配送業者のせいにしないことである。とにかく謝り、お客の話を聞いて欲しい。優良顧客を得るチャンスなのだから。
図表ー2 『ワイナリー和泉屋』がメールマガジンに載せている液漏れ説明の文章
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◆ワインの液漏れの件 許して下さいね!!◆
夏場のワインの発送ですがクールで送っても通常便で送ってもどう
しても液漏れする可能性がでてしまいます。
特にブルゴーニュの何人かは空気がほとんどはいっていないボトリ
ングなので対応できず申し訳ないと思っております。
絶対という方法がないのでご理解お願いいたします。
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B ネットの利用ミスによるクレーム
ネットの利用は難しく、ネットの利用方法が適当でないため、クレームがくることがある。サーバーの故障で注文メールが届かないという不可抗力なミスから、メールのあて先を間違えたもの、あて先が全員に分かってしまったというようなものまで、様々な失敗がある。
基本的に最初から、サーバーを二重にしたり、手元のパソコンも同じものをニ台揃えるなど、万全の体制を整える手もある。
しかし、逆に万全を考えていたら、いつまで経っても立ち上がらないというデメリットのほうが大きい。
考え方としては失敗しながら、くじけずに進めていくことをお勧めしたい。どれだけ万全を狙っても、何かが起きるのがネットの世界である。もっとも、何かが起きた場合には、即座に関係したお客にお詫びのメールを出さなければならない。その際に、どういう対応を講じるかを、忘れないように添えたい。
まだ、こうした失敗を許して貰える状況が
ネットの世界にはある。ただし、お客も日々進化している。お客に遅れないためには、一日も早く立ち上げ、失敗を経験しておくことである。また、ネット上の繁盛ショップと交流することで、起きやすい失敗の情報も入手できる。
ネットは口コミの世界であるが、現実の世界と違い、消費者の口コミを聞くことができる。消費者はネットショップをどのように見ているのか、手に取るように見ることができるサイトがある。
『らむね的通販生活』、『わくわくママのお得情報!!』、どちらもネットショップでの買物に強い関心を持つ女性が立ち上げているサイトである。これらのサイトは、生活の中にネット・ショッピングを積極的に取り入れている多くの消費者が、発言している。今や、ネット・ショップの成長に一役買う存在にすらなっている。襟を正して消費者の声に耳を傾けることで、たくさんのヒントが得られるはずだ。
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