<『商業界』‘2000年9月号掲載>

決済は顧客満足と
安心の最後のハードル

 いよいよ、一番気になる決済である。インターネットショップの決済は電子決済でなければいけないのか。どれとどれを準備すればいいのか。最近は、決済方法も増えて、それぞれにどういう特徴があるのか、ますます分かりにくくなっている。
 決済についての基本的な考え方、導入の手順を説明する。


●基本的には多彩に揃える

 決済には、大きく分けて以下の6つがある。
@ 郵便振替
A 銀行振込
B 代引き
C クレジットカード
D 電子決済(プロバイダー系、その他)
E コンビニ決済
 お客はそれぞれ異なる環境にある。家に居ることの多い主婦、職場の近くに銀行しかないサラリーマン、払いに行くのが面倒でクレジット決済がいいという人、インターネットでモノを買う機会が多いので、プロバイダー決済がいいという人。
 お客の利便性を考えるならば、基本的には上記の6つの種類は揃えたほうがよい。実際、現在、繁盛店と言われるショップは、ほぼ6つ全部をカバーしているところが多い。

表1:代金回収方法の種類
代金回収方法 サービスの概要 サービス事例
銀行・郵便振込 商品受け取り前または後に、銀行または郵便局から代金を振り込む。 銀行、郵便局。
代金引換 商品を配送時に集金する。 宅急便および郵便。    
コンビニ決済 商品と共または別に、送られてきた専用振込用紙を使用し、最寄りのコンビニで代金を支払う。 ローソン、セブンイレブン、10のコンビニチェーンを利用するウェルネット
クレジットカード 商品購入時にクレジットカード番号を知らせて、代金決済を行う。カード番号は、ホームページに直接打ち込むかFAXなどで知らせる。 VISA、MASTER、JCBなど
プロバイダー決済 インターネット接続プロバイダが、クレジットカード決済を代行するシステム。 Smash(スマッシュ)、iREGI(アイレジ)、Hi-HoCheck(ハイホーチェック)
ID/パスワード方式の決済 商品代金を銀行・郵便口座から自動引落しで集金するシステム アコシス、キャピオン、Livuy
プリペイドカード テレホンカードのように、事前にカードを購入して、その金額の範囲内で購入が出来る Web Money(ウェブマネー)、Bitcash(ビットキャッシュ)


●最初から全部は必要ない

 しかし、ショップを開設した当初から全部揃えるのは困難であるし、矛盾するようであるが、その必要もない。
 ショップにとって一番重要なことは、お客にとって魅力的なショップを作ることである。
魅力的な商品を並べ、親近感溢れるショップを作ることである。決済は、その後である。決済方法がたくさんあるからという理由で買物をするお客はいない。現実の店舗でクレジットカードが使えるからと言って、買物をしようと思うお客がいないのと同じである。

●最初に揃えたい3つの手段

 最初に準備しておきたいのは、以下の3つである。他の決済方法が、法人であることや実績があることなど審査条件が厳しいのに比べて、すぐに始められるからである。
・ 郵便振替
・ 銀行振込
・ 代引き
 最初に銀行振込だけを揃えて、郵便振替をしない例がよくある。理由は簡単だ。自店の口座がそのまま利用できるからだ。郵便局に口座を持っている店は少ない。
 しかし、銀行振込と郵便振替を比べると、明らかに後者は手数料が安い。送料をショップ負担にするのに、銀行振込だと厳しいが、郵便振替なら可能である。送料をショップ負担にすれば、お客に対するサービスになる。
また、郵便振替は郵便局に申し込みに行けば、厳しい審査もなく、すぐに始められる。
 また、代引きも人気がある。ギフト雑貨『Figaro』の一番人気は、代引きである。代引きは宅急便会社のものが知られているが、『Figaro』では、代金引換郵便を利用している。宅急便の代引き手数料が500〜1000円であるのに対し、代金引換郵便は250円と安価である。
 銀行振込は手数料がお客にかかるが、それでも銀行振込が便利で、銀行振込を選ぶお客は少なくない。

●未払いリスクのないクレジットカード

 クレジットカードは、最も物議をかもしている決済方法である。少し考え方を整理しておく。まず、セキュリティの問題があるといわれている。インターネットの途中で、カード番号を盗まれるということである。これを防止するために、カード番号を暗号化する暗号化技術がある。米ネットスケープ社が提唱したSSLと、カード会社のVISA社とMASTER社が提唱するSETがある。後者は、かなり強力である。
 こうした暗号化技術を使うことは当たり前だが、それでも危険がまったくないとは言えない。しかし、カードはインターネットの世界だけが危険なわけではない。実際に、現実の世界でカードを偽造される事件は後を絶たない。利用者の意識の問題に負うところも、大きい。
 アメリカでは、インターネット決済のほとんどがカード決済だが、日本ではカードに対する抵抗があるので、アメリカほどには普及しないと言われている。しかし、それでも最近は、カードの利用率は増えているようだ。
 ショップにとっての問題は、インターネット上の暗号化よりも、むしろ受け取った後のデータ管理のほうが大きい。カード番号を管理するディスクや印字した資料類を誰でもが見られるようになっていることが、ままある。
 インターネットで受け取った後のカード番号管理に注意し、注意していることをホームページ上で明記することで、お客に安心感を与えられる。
 さて、クレジットカードの決済の短所は、手数料が高いこと、入金サイトが長いことである。しかし、未払いリスクをカード会社が負っているという長所もある。

●メリットの少ない電子決済

 ここでいう電子決済は、プロバイダー企業が行っているものと、NTTコミュニケーションズなどの通信系の会社が行っているものがある。どちらも、事前にID/パスワードを登録しておき、お客が買物時にID/パスワードを入力する。決済はプロバイダー料金に加算されるものと、事前登録されたクレジットカードに加算されるものがある。
 この電子決済は、インターネット決済のために開発された決済方法である。しかし、電子決済は、ショップ側にとってもお客にとっても、大きなメリットが見出せない。
 まず、お客にとっては決済のためだけに、ID/パスワードを取得、つまり会員登録しなければならない。これをパソコン画面で行うので、かなり面倒である。
 ショップにとっては、手数料がかかるというデメリットがある。『1st Flower Workshop』では、電子決済はお客への宣伝のためと考えている。健康食品などを扱っている『宮崎商店』では、iREGiのみ押さえている。電子決済に力を入れるのであれば商品を安価販売したいと考えている。

●メリットあるが、審査が厳しいコンビニ決済

 最近、セブンイレブンの参入などで、話題になっているコンビニ決済である。セブンイレブンの決済は。お客が自分のプリンターでバーコードのついた振込用紙を印刷する方式である。ギフト用品を多く扱っている『Fellows』では、依頼主に振込用紙を送る手間が省けるため、決済業務の効率化を狙っている。
 セブンイレブンやローソンなどのように、コンビニ単独で行っているものと別に、10のコンビニチェーン店での支払ができるウェルネットがある。お客にとっては、できるだけ多くのコンビニを、利用できるほうが便利であることは言うまでもない。
 ウェルネットでは、コンビニと同時に郵便局も利用できる。コンビニのほうが、時間の制約もなく便利だと思われる。しかし、実際には、ウェルネットのお客はコンビニより郵便局を利用する割合のほうが、増えていると言う。お客から見て、決して郵便局よりコンビニが優位にあるわけではないようである。
 さて、お客にとって便利なコンビニ決済であるが、手数料が高く審査も厳しい。実績がなければ、無理して導入しても採算は取れない。最初は、郵便局で十分ということがここでも言える。
新しい決済情報に気を配る
 決済方法は、新しいものが次から次に出てくる。最近の話題は、iモードによる決済である。iモードの普及と決済の安全性を考えると、将来的には、カードよりiモードということにもなりそうである。今後は初心者のお客も増えてくるだろう。簡単な決済方法を揃えることは、大きなサービスである。決済情報については、常に情報収集をしておきたい。

表2:各代金回収方法の申し込み先と利用条件
サービス名 申込先 審査の条件 使用開始までの期間 URL
郵便振替 各郵便局 特になし 10日   −
銀行振込 各銀行窓口 取引銀行口座があればOK 即時   −
コンビニ決済 各コンビニ本部 法人であること。審査は厳しい。 1ヶ月 ローソン  http://www.econ.ne.jp/
セブン・イレブン・ジャパン http://www.sej.co.jp/
コンビニ決済代行 ウェルネット 法人であること。審査は厳しい。 1ヶ月 http://www.sapporo.net/
クレジットカード 各クレジット会社 法人で実績があること 1ヶ月半 MASTER http://global.mastercard.com/jp/JCB http://www.jcb.co.jp/
電子決済 Hi-Ho CHECK(クレジットカード決済代行) パナソニックハイフォー 法人である程度の販売実績があること 1ヶ月半 http://shop.hi-ho.ne.jp/
Smash(クレジットカード決済代行) So-net Smash 法人以外でもOK、実績のチェックあり 2ヶ月 http://www.so-net.ne.jp/
アコシス(電子クレジット) (株)アコム 法人、および個人 1ヶ月 http://www.aosis.ne.jp/


表3:各代金回収方法の特徴   
サービス名 手数料 入金までの期間  長所 短所
郵便振替 70円〜120円 2日〜8日 最も手数料が安い方法である。 郵便での入金通知のため、入金確認まで時間がかかる。
銀行振込 210円〜735円 即時 入金通知の契約を銀行と結んでおけば、入金が即時にわかる。入金お礼メールなどに活用でき、利用者に安心感を与えることが出来る。 手数料が高い。
クレジットカード 取引額の5% 15日締め翌月15日入金 確実に回収できる。海外への販売でも使用できる。 お客が、セキュリティ面での不安を持っている。
電子決済 Hi-Ho CHECK(クレジットカード決済代行) 初期費用10万円。月額固定費1万円。取引額の8% 15日締め翌月末入金 クレジット認証が即時に出来る。 お客が利用前に登録して、IDを取る必要がある。     
Smash(クレジットカード決済代行) 初期費用10万円。取引額の8% 月末締め翌月末入金 電子決済分野では、実績NO1である。デビットカード対応も行っている。
アコシス(電子クレジット) 初期費用5万円。月額固定費1万円。取引額の5% 20日締め月末入金 個人商店でも申し込め、審査も厳しくない。
コンビニ決済 125円〜155円 5日間締め払い    〜月1回締め払い 振込時間の制約がない。入金情報がデータで送られてくる。(毎日)顧客分析など、データの2次活用が可能である。 お客からの信頼感が確立していない。お客は、1チェーン店のみしか利用できない。
ウェルネット 初期費用5万4千円。月額固定費5千円。120〜250円 月締め後5日後 コンビニ10チェーンが利用できる。 実績がないと利用できない。
    注:各サービスの決済条件は、利用条件により変化します。 


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