< 『商業界』2000年6月号掲載>

  お客を惹きこむホームページ
 
−簡単で魅力的なページのポイント−

 今月は実店舗にあたるホームページのデザインである。ホームページを作る目的、それはもちろん商品を売ることである。実店舗を作る目的が、立派で頑丈な店舗を建てることではないのと同じである。
 どんなショップが繁盛するのだろうか。繁盛するショップに共通するのは、繁盛している実店舗の共通点と変わらない。繁盛する店には賑い感がある。店舗のオーナーや店員が「いらっしゃませ」と常に声を出して、お客を迎える。インターネットのショップでもまったく同じである。
 もちろん、これは「いらっしゃいませ」という声を音声で流すなどということではない。ホームページで賑い感を出してお客を惹きつけ、購買に結びつけるコツを見てみたい。
 お客がインターネットのショップを訪ねたときに、最初に出会うのがトップページ、それもそのトップの部分である。お客がそのショップに興味を持つかどうか、ここですべてが決まる。


トップページは軽く

 まず、トップページでお客を惹きつけるには、軽くすることが一番である。つまりさっと画面が表示されることである。インターネットのお客は忙しい人々である。トップページがのろのろと表示されるようでは、お客はよそのページへとすぐに行ってしまう。
 軽くするには、大きな写真は控える。小さな写真や図をできるだけ少なく効果的に使うことである。商品に関係ないアニメーションを使うなどもっての他である。また、できれば、背景画も控えたほうが速くなり、しかも文字が読みやすくなる。背景に色をつけるのは、構わない。小さな図、写真と文字で魅力的なページを作るのがポイントである。画面を分割するフレームなども、最近は一般的になってきたが、やはり表示が遅くなることに変わりはない。よほどの理由がなければ、使わないことをお勧めする。


ストアコンセプトを出す

 トップページは重要ということで、デザインに凝っているページも少なくない。デザインも重要であるが、売りたいものが強調できてこそのデザインである。
 まず、トップページのトップの部分にストアコンセプトを出す。ストアコンセプトとは、「誰に、何を、どんな形で届けるか」ということである。
 また、全体の印象も大事である。業種にもよるが、小売店の場合には文字数をぎっしりとたくさんの情報が載せてあるほうが、賑い感が出てくる。雑誌の表紙やチラシをイメージすればよい。


商品を見せる

 トップページで何を売っているか分からないページも結構多い。トップページでメイン商品の写真あるいはメイン商品をイメージできる商品の写真を出してほしい。
 多種の商品を出す場合は、必ずメイン商品をトップページで強調することである。これは、年中変わりのない商品であるかもしれないし、季節ごとにメイン商品が変わる場合もあるだろう。季節ごとに変わる場合は、タイミングを逸することなく、ページの更新を行うべきである。このタイミングは実店舗と異なる場合もあるので、気をつけたい。
 また、商品についての説明は、全部をトップページで行う必要はないが、トップページでの説明があまりにも少ないとお客の気持ちを掴めない。情報量のバランスも、思考錯誤で掴んでほしい。


信頼感を打ち出す

 どんなにすばらしい商品でも、ショップ自体の信頼感が薄いと買物してもらえない。信頼感を打ち出すために、必ず行ってほしいこと。それは、訪問販売等に関する法律(図−1)があるので、その中の通信販売で定められた情報を出すことである。これもトップページの目につきやすいところに出すべきである。
 第二に、購買について必要な注文、決済、受取、返品・交換などについて、細かな情報を、初めてのお客が迷わないように出すことである。
 その他に、法律で定められた情報以外に会社や店の情報、経営者の人柄などを詳しく出すことである。実店舗があれば、たとえ通販が目的でもその地図を出すことが信頼につながる。家族の情報なども適度に出すことで、信頼づくりに役立つ。

図−1(社)日本通信販売協会会員が遵守すべき表示基準
(1)店名
 正式社名以外の場合は、正式社名を併記する
(2)代表者名
(3)住所、電話番号
 私書箱のみの表示であってはならない
(4)返品条件
 原則として返品は受け付ける。受ける期間及び返品に伴う費用を明記する。
(5)商品代金以外の費用
 送料、梱包料、組立料、手数料などの内容と額
(6)その他
 ・販売価格
 ・代金支払いの時期及び方法
 ・商品の引渡し時期
 ・その他割賦条件など

左上がゴールデンポジション

 トップページのトップの部分が重要と述べたが、さらにその中でも左上はゴールデンポジションである。右より左、下より上がお客の目が行きやすい場所である。ここにストアコンセプト、ストアコンセプトを示す看板にあたるロゴや商品の写真などを置く。さらにその下に、メイン商品、訪問販売法に基づく表示、決済、返品・交換情報などを置くとよい。味噌業界でトップの売上を誇る『小泉糀屋』のトップページは、この基本が忠実に守られている(図−2)。

ロゴを考える

 インターネットショップの看板と言ってもいいものがロゴである。ロゴはストアコンセプトを出すのに最高の道具であるから、時間をかけて考えてほしい。
 場合によっては、店名を実店舗と異なるものにすることも必要である。Tシャツショップ『Easy』(図−3)は、もともとは衣料品店『岸本屋』が出したショップである。また、照明器具ショップ『てるくにでんき』(図−4)は、『照国電機株式会社』の出しているショップである。
 どちらにも共通していることは、やさしく簡単でインパクトがあるということだ。
 ロゴは、デザイナーに費用をかけて頼むよりも、洗練されてなくとも自店で考えたほうがお客への思いは伝わるものである。

色も重要

 『Easy』のページは、赤、青と白で統一されている。ロゴもこの色が基調になっている。これは、アメリカの星条旗の色だ。アメリカ製のTシャツを売るというコンセプトを色でも表現している。『てるくにでんき』の色は、オレンジ色だ。これは、灯りの色である。繁盛店は、色ひとつ選ぶにも気を使っている。メインカラーを2〜3色に絞り、それをストアコンセプトと結びつけてほしい。
 また、全体の色だが、白い背景に黒い字が基本である。黒い背景に黄色の字など、インパクトはあるが、読みやすさから言えば、勧められない。あくまでも物販の店はデザインを売る店ではないので、お客が読みやすいというこを第一に考えるべきである。
 ただし、図や写真を極力押さえた場合、黒い字だけでは、単調になりすぎる。ポイント的に色文字を使用することで、アクセントをつけられる。その場合も、全体のバランスに細かく気を配ってほしい。

買物しやすい店づくり

 ページ全体の構成は、トップページを中心にシンプルにするべきである(図−5)。トップページは表紙であると同時に目次でなければならない。少なくとも、そのページの中で出てくる内容の見出しは、すべてトップページに盛り込まれているべきである。そして、買物に必要な情報のページは少なくとも2クリックでたどり着けるべきである。
 また、クリックした先のページで、少なくともトップページに戻れる工夫は必須である。
 商品について、大きな写真などの詳しい情報を載せたい場合がある。その場合は、1クリック目にページでは小さめの写真を出し、さらにクリックすると大きな写真が出るように設計してほしい。

図−5 シンプルなページ構成の例。どのページからもトップページと<レベル1>のページには戻れるようにリンクを張る。


繁盛店を再度参考に

 ページをデザインするに際して、再度、繁盛店を見なおしてほしい。繁盛店は、字の大きさひとつ、線一本こだわりを持って表現している。そのこだわりをよく参考にしてほしい。


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