<『商業界』‘2000年4月号掲載>

ショップ・コンセプトがすべて!
−繁盛店を作る企画と計画−

 インターネットの世界を見ていると、今までの常識が通用しないことばかりで、ちょっとやそっとのことには、驚かなくなった。それでも、最近驚くことがあった。
 昨年の11月にインターネット・ショップを出店したばかりで、12月には実店舗と同程度の売上を上げた店がある。
 この店は、横浜にある『小泉糀屋』で味噌を中心に扱っている。話を聞いてみると、一年間は準備にかけたと言う。
 スピードが命と言われるインターネットの世界であるが、準備に時間をかけるのが繁盛店づくりの一番の早道である。
 もちろん、準備が整って実施体制に入ってからは、スピードで攻めなければならないのは言うまでもない。
それでは、開店準備とは何があるのだろうか(図−2)。インターネット・ショップの成否は、第一にストア・コンセプトがすべてと言っても言いすぎではない。「誰に何を、どういう形で売るのか」を決める。
 二番目に収支計画である。将来的にいくら売って、いくら儲けを出すのかを前もって計画しておきたい。
 三番目は実施計画である。ホームページの制作、メール応答体制、商品仕入、決済、配達、販促の方法など、ホームページを開設してから、慌てても遅いことばかりである。        
          
図−2 開店準備

  
  @ショップコンセプト   
   ・商品
   ・売り方
   ・ショップ名
   ・ロゴ
  A収支計画
  B実施計画

ショップ・コンセプトは商品選びから

   実店舗でも、最近はストア・コンセプトの甘い店は弱い時代である。インターネット・ショップでは、ショップ・コンセプトのないショップは弱いどころか、成立しないと思っていい。ショップ・コンセプトのないところに繁盛店はあり得ない。

(1)商品を決める
 では、ショップ・コンセプトの作り方であるが、まず、商品を決める。これで8割がた決まる。コンセプトとは見切りである。あれもこれもということでなく、これで行くという商品を決める。
 確かに、インターネットで売れやすいものはある。以下の商品は売れやすいと言われているものである。
@ オリジナル商品
 お客の注文でデザインされた衣料品、雑貨などがこれに当たる。
A こだわりの商品
 店主がうんちくを傾けられる商品である。万年筆、釣具に、コーヒー、紅茶、ワインなどの嗜好品である。
B 専門性の高い商品
 パソコンや自動車、照明器具など売るのに、専門家のアドバイスを伴う商品である。
C 鮮度・品質の高い食料品
 食料品でも、スーパーで売られているようなありきたりの商品ではなく、採れたての水産物や栽培法の異なる農産物などである。
D 健康関連の商品
 健康志向はインターネットの世界でも同じである。健康食品や健康器具は売れている。
E ギフト関連の商品
 ギフトを選ぶ仕事はわずかな楽しみと同時に煩わしさを伴う。一定の予算の中で、それなりのレベルの商品を見て歩かなければならない。こうした面倒な商品選びにインターネットは向いている。
 これらは、売れやすいと言われている商品ではある。しかし、囚われないで頂きたい。今、成功店と言われているショップで売られている商品でも、最初は「○○?そんなもの売れるだろうか」と周りから言われたようなものがある。『家具のアオキ』の家具、『てるくにでんき』の照明器具は、まさにそういう商品の代表格である。常識を打ち砕いた先に成功は待っている。

(2)売り方を決める
 商品を選んだだけでは、コンセプトはできない。商品をどういう人に売るかで、売り方は違ってくる。価格のつけ方も、ホームページのデザインも違う。
 さらに、同じ商品でも、どういう売り方をするかがある。分かりやすい例で、Tシャツを取り上げる。『Easy』『T_GALAXY.COM』はどちらもTシャツを販売している。しかし、売り方も商品の種類も、まったく異なる。『Easy』は、アメリカの品質のいいシンプルなTシャツを出来るだけ安価で提供している。『T_GALAXY.COM』は、久米繊維という製造業の出しているショップである。こちらは、お客が好きな色やデザインを指定してオリジナルTシャツを作る。デザイナーや販売ショップをインターネットの上でフランチャイズ展開している。
 同じTシャツ・ショップでありながら、コンセプトが、まったく異なる。それは、インターネットを始める以前の事業形態が違い、それぞれの得意分野を追求した結果である(図−3)。

               図−3 商品コンセプト確立の例


 また、ショップの名前をどうするかも重要な要素である。この際、実店舗と違う名前でイメージチェンジを図る手もある。その際、ロゴを慎重に考えて作成したい。

収支計画を立てる

インターネットの将来など分からないから、収支計画は立てられないのではと、思われるかもしれない。大企業なら、そういう考えで実験的に進めることも可能だろう。しかし、中小規模の店舗であれば、そんな悠長なことを言っている余裕などないはずである。
 どの程度の売上が見込めるのか、すでに先行している成功店を見れば、ある程度の予測は出来る。現在、繁盛店と言われているショップは、月商500万円程度を上げている。「うちは、ああいうところとはレベルが違う」などと言えば、最初から負けである。是非、成功店を追いぬく覚悟で、始めて頂きたい。そのように考えなければ、満足な投資はできない。初めから負け試合をしてはならない。
 また、目標を立てることで、実現性が高まるということもある。インターネット。モール『楽天市場』の月会費は5万円である。月5万円の費用を支払うには、20万円の売り上げは必要である。これだけ売り上げる覚悟の店が参加し、大方が出店を継続している。
 インターネット・ショップは、あまりにもコストがかからないという宣伝が行きすぎているため、必要な経費も惜しむことになってしまう。
 たとえば、パソコン一台でショップができると言われているが、ショップを運営するのに一台だけでは不十分である。また、プロバイダーも価格だけで選んでしまうと、サービスが悪く、肝心な時間につながらないということになる。
 無駄な出費はする必要はないが、商売に必要なものには、しっかりと投資すべきである(図−4)。
  
図−4 収支計画の例
- 最低の例 最高の例
<収支> --
売上(初期の目標) 20万円 100万円
<支出> --
  [初期コスト] --
    ・パソコン機器 20万円 60万円
    ・プロバイダー入会費など 0円 10万円
・(ISDNなどの通信環境整備費用) 1万円 10万円
   ・ホームページ作成費用 2〜3万円 20〜30万円
   ・販促費用 1万円 10〜20万円
  [運用コスト] --
   ・商品仕入れ費用 20万円 50万円
   ・通信費 1万円 3万円
   ・プロバイダー費用等 2千円 10万円
<注>上記は単なる目安です。詳細については、次回以降で説明致します。

実施計画を立てる

 商品と売上目標が決まれば、仕入計画を立てる。開業すると実績が目標を下回ることもあるが、上回ることもある。それも大幅な実績オーバーの場合、喜んでばかりもいられない。インターネットの世界では、欠品は実店舗以上にイメージダウンという損失をもたらす。欠品を出さない準備、出したときの対策を講じておきたい。
 また、決済も一般的には様々な手段を提供したほうがいいが、一気に始めるのは困難である。最初は郵便振替、銀行振込、代金引換あたりを準備したい。それぞれについて、入金確認の手段も確立しておく。
 さらに、特殊な商品の場合、お客に配達する手段も調べて準備しておく必要がある。一般には宅配便であるが、自店の商品扱いが得意な業者だろうか。
 ショップを始める前に必要と思われることを、すべて書き出して、順序よく手配したい。
 
 それでは、いよいよ次回はホームページの開設準備である。
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