<『商業界』‘2000年2月号掲載>

インターネット時代・本格化!
−時代の波に乗り繁盛店に−

2000年、まさに時代の変わり目である。大量生産、大量消費の時代が終わりを告げ、人々は、個々人の好むものしか購入しない。工業化社会から情報化社会への転換である。

にもかかわらず、大きな時代のうねりの中で、従来のしきたり、仕組みのままで商売を続けているところは多い。企業規模の大小に関係なく、従来のやり方を捨てられない企業や店はもがき苦しんでいる。新しい時代の明かりが目の前に灯っているのに、なんともったいないことだろう。

1990年代後半に突如として現れたインターネットは、まさに新時代の光明である。
インターネットとはパソコンのディスプレイに出てくる冴えない画面としか考えられなければ、価値は見出せない。

では、インターネットとは、とんでもなく難しい技術が必要な、やっかいな代物なのだろうか。今、電話で話ができると自慢する人がいれば笑われるだろう。あと、5年もしないうちに、インターネットも同じような扱いを受けるようになるだろう。インターネットもただの道具である。
しかし、時代を変えるだけの大きな価値、魅力を持った道具である。ほんの少しの価値転換で、新しい時代の新しい道具を手に入れられる。

この一年間、皆様が新しい時代の新しい道具を、手にするまでの道案内を勤めさせて頂きたい。


インターネット市場は、現在2,000万人に達しようとしている。日本の総人口の20%弱にあたる。その市場をめがけて、インターネット・ショップは続々と出店している。1995年にわずか222店だったのが、1年後に10倍、4年後の1999年9月には17,013店、約80倍。まさに現代のゴールドラッシュである。

それでは、そこに広がる市場はどの程度のものなのだろうか。
インターネット・ショップの市場規模は、現在1,900億円であるが、2003年には約16倍の3兆1,600億円になる。これは、日本全体の消費支出の1%を占める。簡単に考えると、3年後には、100人のうち、ひとりがインターネットで買い物をすることになる。その後の伸びも急にストップすることはないだろう。


●経営者の理解がすべて

これだけの将来性があり、多くの企業や店がインターネット上に店を出しながら、成功例は多くない。
「だから、インターネットは儲からない」と短絡的に考えるのは愚かである。
インターネット通販で成功する店には共通点がある。経営者のインターネットに対する理解と輝かしい未来をイメージできる想像力である。

インターネットは、まだ、世の中に出てきて間も無い道具である。実店舗で買い物をするように、インターネット・ショップで買い物をした経験のない経営者も多い。どのショップがよく、どのショップがよくないかの価値観すら持たずに出店するのは無謀である。
実店舗以上に価値のあるインターネット・ショップは、経営者の強い意思とともに出店すべきである。そうすると、すべてが変ってくる。投資計画、いつ採算ベースに乗せるのか、どれだけの体制を敷けるのか。

京都の『家具のアオキ』は、月商300万円を超えたら無店舗に切り替える計画を立てていた。現在は、3坪の部屋でひとり体制、在庫なしで7千万円の年商を上げている。
また、インターネットを自店の経営の中でどういう位置づけにするかも、経営者の考えで決めるべきことである。

カーテン専門店『カーテン館「窓」』は、インターネットでカーテンを売る予定はないと言う。当店は出前のカーテン試着で有名なカーテン専門店であり、部屋に試着してから売ることを原則にしている。インターネットを始める場合、インターネットは、通販ではなく広告の手段にしたいと考えている。


実店舗とインターネット・ショップ

インターネット・ショップは、5年前は未知のものであったが、時間が経つにつれて実店舗での商売とさして変わりのないことが分かってきた。商品が魅力的な店、店員の愛想のいい店、サービスのいい店、価格の安い店、支払いに手間取らせない店、これらは実店舗とインターネット・ショップに共通である。
インターネット・ショップでは、日本全国の店がこれらの点で比較される。すべて、あるいは一点で、強烈に他を圧倒する強さが求められる。商品も実店舗以上に魅力あるものが求められ、販促の方法も実店舗と異なる。
しかし、商売の原則は実店舗と変わらない。異なる場所に出店するための知恵と工夫が必要とされるだけである。インターネット・ショップで勝てる経営者は、実店舗でも勝てる経営者である。

インターネット・ショップの成功要素

では、インターネット・ショップの成功要素とはなんだろう。

@スピード

スピードこそは、インターネット・ショップに特有の最も重要な特徴である。競合店に先んずるスピード、それはブランドの形成につながる。お客は名前を知っている店で買い物をしたがる。お客に一番先に店名を覚えて貰えることこそが、スピードのもたらす効果である。同じ業種で有名ショップがなければ、出店のチャンスである。迷う余地はない。
A信頼
インターネット・ショップは市民権を得ているのだろうか。お客は顔の見えないショップで買い物をする。それ自体が勇気のいる行為である。成功しているショップでは、お客に信頼して貰う努力をしている。通信販売法に基づく代表者名や所在地などの通信販売表示を始めたのは、傘屋の『みや竹』である。
B魅力
インターネット利用者がインターネットに求めるものは、エンタテインメントという結果がある。パソコンという無機質な箱に、人々は面白さ、楽しみを求めている。
『楽天市場』では、1円オークションや昼休み限定オークションなど、様々な形でのオークションを催している。
また、お客にとって役に立つ情報も魅力となる。果物屋の『紅光』は、フルーツクリニックというページを開設し、そこで果物がいかに健康にいいかを説明している。
C商品力
インターネットならではの商品力も必要である。『てるくにでんき』は照明に特化したショップである。『Easy』は洗濯後も返品を保証するような丈夫なTシャツを売りにしている。
近所で手に入り難い商品、近所にないカテゴリーキラー的品揃えがポイントである。

Dコミュニケーション

インターネットの一番の特徴はメールであると言っても言い過ぎではない。繁盛しているショップほど、こまめに親近感あふれるメールを出している。

こうしたショップの要素は、すべて経営者の意思によって築かれる。後払いのリスクを取ること。スピードや魅力を生み出すための体制。従業員まかせでは決して生まれてこないものである。
経営者は何をすべきなのだろうか。どういう手順でショップを開設・運営していけばいいのだろうか。決済はどうすればいいのだろうか。商品はどうやって選べばいいのだろうか。
あらゆる疑問に次号より答えていきたい。


『家具のアオキ』
http://www.kyoto-aoki.co.jp
/interior/interior.html
『みや竹』
http://www.kasaya.com/
『楽天市場』
http://www.rakuten.co.jp/
『紅光』
http://www.wbs.ne.jp/bt/benikou/
『てるくにでんき』
http://www.terukuni.co.jp/
『Easy』
http://www.easy.ne.jp


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