<『商業界』'99年10月号掲載>
6つの原則と商人の心で
ビッグチャンスをつかまえよ!
インターネットの登場は、第二の産業革命と言われている。わずかな資金で世界を相手にビジネスが出来る。大企業と小規模企業の格差が、まったく無い世界。それどころか、大企業が撤退し、小規模企業が闊歩している。
まさに、中小企業にとっても200年に一度のチャンスが掴める世界である。しかし、インターネットの世界に進出して成功する割合は1割とも言われている。成功する1割の企業と成功出来ない9割の企業はなにが違うのだろうか。
インターネット・ショップはパソコンネットワークの上にあるサイバーショップである。しかし、面白いことに現実の店舗以上に人間的触れ合いが求められるのである。一人一人のお客様に「ありがとうございました」と深々と頭を下げるショップ。商人の心のあるショップが成功している。
また、商品発送に在庫管理、現実の店舗に劣らない繁雑な店舗運営をこなす必要もある。インターネット・ビジネスを成功させるには、既に明らかになっている原則がある。この原則を忠実に実行するだけで、成功は約束されている(図表@)。
インターネットは馴染みの薄い道具である。また、インターネット上で何でも出来る。これが落とし穴になる。
何か出してみよう、何か売ってみよう。これでは、ホームページを見た人には何も伝わらない。
商品を売るのか、来店して貰うことを目的にするのか。商品を売るのであれば何を売るのかを明確にしたい。通販が目的であれば、現実の店舗と異なるストアコンセプトにすることも可能である。(図表A)洋菓子屋で、実店舗ではごく普通のケーキや焼き菓子を売っているが、インターネット・ショップではアトピーの人でも食べられるお菓子を前面に出している例がある(図表B)。
洋菓子の場合、店の前を通る一般の人がお客様である。しかし、インターネット・ショップではアトピーで困っている日本全国の人がお客様になる。ところで、現実の店舗のストアコンセプトは明確だろうか。
もし、これが明確でなければ、インターネット・ビジネスを始めるのをきっかけに考えてみることをお勧めする。コンセプトのないインターネット・ショップには、お客様は来ない。
インターネットのユーザーは、20〜30代の男性が圧倒的に多い。
しかし、この顧客層に向いてない商品を扱っているからと言って、がっかりすることはない。女性の顧客、高齢者の顧客は年々急激に増加している。どの顧客層をターゲットにするかによって、ホームページの作り方は大きく変える必要がある。どの顧客層が見てもいいようなホームページには、お客様は来ない。若い男性がターゲットであれば、シャープなホームページ。若い女性がターゲットであれば、おしゃれなホームページ。子供を持つお母さんがターゲットであれば、かわいらしいホームページ。高齢者が相手であれば、大きな字でシンプルなホームページという具合である。
また、顧客層により使う言葉使いも変える必要がある。これは現実の店舗での応対となんら変らない。
インターネットでは、どこにも売っていない珍しい商品(サービス)が売れると言われている。
しかし、そのページでしか扱ってない商品でも売れないこともあれば、あまり珍しくない商品でも売り方を工夫すれば売れる。どんな商品であれ、並べただけでは売れない。商品(サービス)についての詳しい説明、使い道についての提案(図表C,図表D)。お客様は、商品(サービス)を買うのではなく、商店主の智恵・アイデア・親切な対応を買うのである。その商品(サービス)に、お客様が納得できる価格がついていたときにお客様は我先にと買いに来る。従って、商店主が自信を持って売れるもの、商店主自信が惚れ込んだ商品だけを並べることがポイントになる。運営体制を確立する現実の店舗以上に運営が大変なのが、インターネット・ショップである(図表E)。運営の内容を見てみよう。
- 商品の仕入・発送
- メールのやり取り
- 在庫管理
- 苦情処理
これは、現実店舗と変らない。むしろ、インターネット・ショップのほうが、スピードを要求されるだけに大変である。
メールを通したお客様へのハイタッチな対応。これがなくては、インターネット・ショップの成功はありえない。繁盛店では、一個の商品を売るのに平均3〜4回のメールのやり取りを行っている。
欠品によるお客様の失望感は、現実の店舗以上である。売れ筋を欠品させない工夫は、現実店舗と同様であるが、それでも欠品は出る。インターネット・ショップでの欠品対策は、すぐに発送できる商品か、何日待てば発送出来るかをページ上で示すことである。きめ細かいページ更新がなければ対応できない。
インターネットの世界は、口コミの世界である。それも、現実の世界よりも広い範囲にとんでもないスピードで広まる。
しかし、恐れることはない。インターネットの世界のお客様はお節介でもある。こちらが苦情を受け付ける姿勢を示せば、うるさい程に意見を言って貰える。こうした苦情に丁寧に応えれば、応えて貰ったお客様は必ずリピーターになる。そして、いい評判をあちこちで広めて貰える。これだけの処理を一人でやれるだろうか。最初は一人で始めたとしても、繁盛店になれば必ず限界がくる。
社長がひとりで始めた場合は、協力してくれる家族、従業員を見つけることである。従業員に任せる場合は、インターネット・ショップの運営が大変であることを理解し、体制を整える必要がある。
インターネット・ショップは現実の店舗とほとんど変らない。
しかし、インターネット特有の部分もある。そこをうまく捉えてうまく利用することが大きなポイントである。インターネットの特性とは次の二点である。
- 双方向性
- スピード
インターネット・ビジネスが成功するか失敗に終わるかは、メールをどれだけ使うかにかかっている。
現実の店舗でお客様と密接なお付き合いをしているだろうか。こまめに手書きの手紙を出しているだろうか。繁盛店と言われている店は、注文すると半日で、お礼のメールがくる。それも、形式ばった味気ないメールではなく、お客様一人一人に宛てて書かれたメールが(図表F)。メールなくして成功はありえない。手書きの手紙を出すように、一人一人のお客様に丁寧なメールを出すことが、お客様を呼び込む第一歩である。
また、メールを利用したアンケートも安価に実施できる。ただ、お客様は、無料では強力してくださらない。簡単なプレゼントを用意する心配りも必要である。アンケートや一枚一枚のメールは、あなたのショップに寄せられたお客様の貴重な意見である。商品に対する意見、運営に対する意見、ホームページに対する意見。こうした意見を大切に扱えば、繁盛店になることは間違いない。
インターネットの世界は、現実の世界よりはるかに速いスピードで動いている。
お客様の関心も、噂の広がるスピードも。お客様の関心が遠のかないスピードで、ホムページを更新していく。
苦情が来たら、猛烈なスピードで対処する。お客様に「メールを出したと思ったら商品が届いていた」と思って頂けるほどのスピードが必要である。インターネットの世界では、スピードは大きなサービスである。
インターネットはパソコンの上にある世界である。従って、パソコンの技術知識はある程度必要である。しかし、ある程度に留めておくべきである。技術を恐れる必要もなければ、最先端の技術を無理に取り込む必要もない。
最先端の技術を、時間をかけて取り込む。出来上がったホームページは、表示されるのに時間がかかるばかりである。かかった時間に対してお客様は通信費を払うことになる。何もいいことはない。
難しい技術を取り込むことより、メールを出すこと、役に立つ情報を提供することに労力をかけて欲しい。それが、お客様への真のサービスになる。インターネット・ショップが日本に登場して、まだ、数年である。私たちは、誰もが生まれて初めて手にする道具と向き合っている。
人間が初めて火を使ったとき、初めてエンジンを使ったとき、初めて電話を使ったときを想像して欲しい。私たちはすばらしい歴史に立ち合っている。もう、成功の原則は明確である。後は、走り出すだけである。一軒でも多くの成功店が出て、インターネットの世界がさらに輝かしいものになることを願っている。