<『商業界』‘2000年5月号掲載>

常識破りの「玄関下ろし」で
家具の繁盛店に
−家具のアオキ/京都市−

 インターネットで家具を売り、毎年のように売上を急激に伸ばしているショップがある(図表−1)。青木良夫氏(図表−2)が運営している京都の「家具のアオキ」(図表−3)である。
「家具のアオキ」は数年前までは、京都の街中にある普通の家具店であった。以前よりパソコンに親しんでいた青木氏は、'95年という早い時期にインターネットショップを立ち上げた。売上は初年度こそ10万円台であったものの、次の年に1,600万円と大幅に伸びた。そして、月商がコンスタントに300万円を超えるようになった'97年12月に実店舗を畳んだ。


●家具を売る仕掛け
当ショップがインターネットで家具を売ろうとしていた'95年当時は、インターネットショップも数えるほどしかなかった頃である。組み立てやセッティングが必要とされる家具は、インターネットで売れないのではと思われ、インターネット上に家具ショップはほとんどなかった。しかし、青木氏は果敢に挑戦した。
 まず、街中の実店舗では扱えなかったが、売ってみたいと思っていたヨーロッパ製のオフィス用高級椅子を売ってみた。この椅子が売上増の中核商品となった。仕入れる側から売れた。
 また、商品在庫は置かず、メーカーや卸からお客に直接発送してもらう。組み立てやセッティングは行わない玄関下ろしである。「お客は組み立てやセッティングを行わなければ、家具は買わない」というのは、売る側の思い込みであったと青木氏は語る。


●ブランドと安心感
 インターネットで売れないと思われていた家具を知恵と工夫で最初に売ったショップとして、「家具のアオキ」の名はインターネット上で広まった。「家具のアオキ」のブランドが確立したのである。
 さらにお客の呼び込みに貢献した仕掛けは、安心感を提供したことである。安心感を生み出す仕掛けのひとつは後払い、二つ目はカタログ請求のコーナー、三つ目は素早いメール返信である。家具という高額商品でも青木さんは後払いで対応している。売る側の安心より、お客の安心を優先したいからである。また、インターネットといえども、紙カタログを送るという手間隙にお客は限りない安心感を抱く。
 こうした仕掛けがお客に満足感を与え、インターネットのヘビーユーザーが中心顧客であった頃、リピート率は58%に達していた。


●市場が変わった
 インターネットショップがもの珍しかった数年前は、お客はパソコンマニアが中心であった。しかし、1〜2年ほど前からパソコンマニアでない一般のお客がインターネットショップを訪ねてくるようになった。この点を青木さんは敏感に察知し、新しい顧客層に対応する方向を探り始める。ちょうど、大手プロバイダーのAOLからモールへの出店依頼があった。AOLはインターネット初心者を広く集めている。初心者のお客に目にとまりやすい抜群の"立地"である。
 販売商品は既存ショップと変えるわけでなく、初心者のお客に買物しやすいショップ作りを心がけている。


●安い商品でお客を呼ぶ
 以前は、高価なタンスや書棚などの箱ものは、それほどは売れなかった。しかし、最近はこうした高額商品も、インターネットで買ってもらえるようになってきたという。利益を生む商品群である。しかし、こうした高額商品も店頭に置いては、お客は呼び込めない。そこで、お客の目を引くために値ごろ感のあるラックを目立つ場所に置いている。
 ショップのブランド力がついてくると、メーカーとの交渉も有利になった。このラックは、メーカーの了解を得て3割引きで販売している。
 そして、さらなる売上増を目指して、当ショップでは従業員を増員し、オリジナル商品の開発を計画している。
<図表−1 「家具のアオキ」年商推移>




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