< 『にいがた商工連ニュース』2002年3月号掲載>

  事例に学ぶIT活用のポイント
 
〜まとめと今後の動向−12回目〜
    
執筆者 青木悠子

<どの業界も変化は加速>

製造業−海外進出ますます盛んに 

(1)海外取引も手軽に  
東京町田にある潟nイコム(従業員10数名)は、映像機器の設計・開発、国際営業で40億円の売上を上げる企業です。当社は、テレックスもなかった20年前から東南アジアとの取引を続けてきました。海外企業とのやり取りに苦労を重ねてきたため、インターネットの登場は待ちに待ったもので、インターネットの導入で、効率化が急激に進んでいます。海外の脅威を感じるばかりでなく、インターネットの登場で海外取引も身近になったという考えを持ってもよいのではないでしょうか。
(2)バーチャル工業団地は地域に向かう
  「バーチャル工業団地」という言葉が期待を持って登場してしばらく経ちます。けれど、バーチャル工業団地を早く立ち上げたところほど、「バーチャル工業団地」の幻想に気がつき始めています。長野県の諏訪バーチャル工業団地(http://shinshu.online.co.jp/business/industryweb/) では徹底して地域にこだわり、地元の商店街との話し合いなどを持ち始めています。ネットを通して、顔を合わせた交流をさらに強めるという方向で考えるべきなのです。

建設業−ITが本格化

 他の業界に比べると、ITの導入がやや遅れていた建設業界ですが、ここ一年でゼネコンの不調、建設CALSの本格化などで、中小建設業者のIT導入も積極性を増してきました。
(1)個人客を狙う
 ゼネコンからの受注が激減しているため、個人客をターゲットにする傾向が強まっています。個人客が対象であれば、ホームページを使って自社の技術を分かりやすく伝え、愛想の悪い職人というイメージを払拭する努力が必要です。2001年12月号でご紹介した(株)安田塗装は、個人客をターゲットにしたホームページとしていい例です。
(2)CALS対応には社内IT化が必須
 建設CALSは、各地の自治体、建設協会での取り組みも増えつつあります。ブロードバンドの普及で、ネット経由での工事写真の提出なども当たり前になってくるでしょう。  けれど、建設CALSに対応するためには、社長が率先した全社的ITへの取り組みが必須になります。2001年7月号でご紹介した勝村建設鰍ヘ、模範的事例です。

サービス業−販促からITでサービス提供

 サービス業では、PRという使い方でITを比較的早くから導入していました。サービス業は来店して貰うことに意味があるので、ホームページを出すだけでも意味があります。また、ホームページばかりでなく、mapfan.comなどを利用してカーナビや携帯電話上の地図に看板を出すことも、進められています。
(1)ネットでサービス提供
  ネットには、様々な通信形態がありますので、PRだけに利用するのはもったいない話です。そこで、2001年5月号掲載の託児所マグハウスのように、インターネットで預かった子供の様子を動画で配信するなど、ネットを利用したサービスが本格化しています。2001年9月号掲載の谷津坂屋なども、店内の現在の様子を画像で配信し、店の込み具合を知らせています。これなども、簡単ですがサービス提供と言ってよいでしょう。
(2)ネット上のクレーム対応
 ホテルや旅館を紹介する「旅の窓口」(http://www.mytrip.co.jp)では、一軒一軒のホテル・旅館に対して、利用者からの感想や苦情を書き込む欄があります。苦情に対して丁寧に応えている企業、まったく放置してある企業、ふたつに分かれています。丁寧に応えている企業と放置している企業では数年後の結果は大きく変わってくるでしょう。  インターネットは消費者の強い世界です。宿泊業だけでなく、各業界で顧客のクレームは露出してくるでしょう。クレームをうまく取り込み、逆に愛顧客につなげる利用方法も習得しておくべきでしょう。


小売業−ネット通販ばかりではないIT利用

 ネット通販は小売業が最初に飛びついたITの利用方法です。楽天に加入した店も多かったのですが、売れる店、売れない店の結果も、だいたい出てきました。  最初の時期は、店主がひとりでホームページを手作りし、軌道に乗れば無店舗への道を選ぶところもありました。最近は、こうした小規模の店だけでなく、数店舗の規模の小売店もネットショップを開設し始めています。
(1)中堅規模の小売店のネット通販
 中堅規模の小売店でのネットショップは、小規模のネットショップのやり方と異なる面が多々あります。一番の違いは体制です。経営者とネットショップ担当スタッフとの意思連携がどこまで出来ているか、売上が伸びたときにスムーズに対応できるかです。  2001年4月号で紹介した清川屋は、この体制づくりが秀逸で、売上を順調に伸ばしました。その結果、楽天の"ショップ・オブ・ザ・イヤー2001"で、「フードジャンル賞 第一位」という栄誉を勝ち得ています。
(2)クリック&モルタル
 ネットショップは販売の目的だけはなく、顧客からの声を聞くという使い方も一般的になっています。ネットの世界は、現実の世界よりも顧客との距離が近いことを利用したものです。  そこを延長し、現実の店の顧客からの声も積極的に集めデータベース化する店も出始めています。そのデータベースを現実の店の店作りに積極的に利用するのです。そうしたITの積極的利用を図る店が、確実に生き残る店になるでしょう。

青木悠子からのメッセージ
 これはサービス業の事例ですが、小売業であれ、製造業であれ、顧客に対するサービス向上は必須の時代になっています。CTIは、電話とインターネット、パソコンシステムをうまく組み合わせ、効率的に顧客サービスを向上させるために最適なツールです。どのような事業形態、規模の企業であれ、使えるものです。是非、こうしたツールも積極的に取り入れてください。
 
共通するIT利用方法
・業務効率化
・ 販促
・ 顧客開拓
・ 顧客の声収集
・ ITによる顧客サービス開発
・ ITによる顧客サービス向上
・ クレーム対応
・ 他社・他業種との協業
・ 情報共有
・ 情報収集
共通するIT利用のポイント
・ 経営者が先頭に立ったIT推進
・ IT体制の整備・ 従業員のIT教育
・ IT時代に合った経営革新
・ IT利用の目的を明確にする
・ IT利用で差別化を図る(他にないビジネスモデルの開発)

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