< 『にいがた商工連ニュース』2002年2月号掲載>

  事例に学ぶIT活用のポイント
 
〜ネットで自社の強みを売込む―11回目〜
      
執筆者 泣Gス・エム・エスコンサルティング              
   代表取締役    関 信一

<ものづくりコンビニエンスカンパニー―ニッキトライシステム>
http://www.nicki.co.jp/

スピード経営で難局を乗り切る 

 ニッキトライシステム(松本市)は、平成3年、バブル崩壊の影響により、試作品100%であった売上は半減しました。そこで仕事を取るための決め手はスピードにあると考え、CAD/CAM等の設備投資に着手しました。当社は、プリンタやコピー等のOA機器類の各種部品試作を専門とする製造会社です。現在、国内及び海外(アジア・欧米)から、年間約6,000点の試作を受注できるようになりました。ネット活用による特急ライン(ワンデイシステム)により1日で納入することが可能です。データは、メール添付または発注先のサーバーからダウンロードしています。試作品発送には国内は宅配便を、海外は空港に持ち込み航空便を使っています。受注は、大部分が展示会への出展によるPRや商談からです。ホームページは、名刺交換の後の問合せに役立っています。 
図表1 (36KB)
(パワーポイントをお持ちの方で、IEご利用のみご覧になれます)

製品企画から販売促進までトータルサービス 

 コンビニエンスカンパニーはお客様が必要とする製品を高品質・短納期で生み出すことです。これに必要な商品企画・工業デザイン・設計・試作評価・金型製作・部品製造・組立・パッケージング・販売支援ツール制作等の各機能を代行しています。「製品企画から販売促進までのサービス体制を持っている企業は、国内にはほとんどない」と倉科哲寛社長は言います。同社は、このための必要な機能を自社(製造工場・組立工場)及びSOHOのデザイナーなどとネットワークにより実現しています。現在売上の約60%を占めています。また、トータルサービスを提供するため他社がどのような試作技術を持っているかなどを把握し、ネットワークを拡げて行く必要があります。ネットは、この情報収集に威力を発揮しています。

ネット活用で打合せ・見積・入札・発注システム構築を目指す

 同社は、専用サーバーを用いて発注予定のイメージデータ等を60数社の協力会社に公開し、協力会社が見積を送信・入札し、同社がその内容を確認して発注するシステムの構築を進めています。またお客様との技術面の打合せは、詳細な点の打合せが必要になってくるため、フェイスツーフェイスで行っています。ネットによるテレビ会議システムを現在構築中ですが、この実現には、ADSLやCATVインターネットなどの高速インターネット回線が必要になってきます。今後ネットワークを活用した「ものづくりコンビニエンスカンパニー」の展開を進めています。

<ネットでアルミ鋳物受注―長川原金属>
http://www.timelyhit.ne.jp/nagakawara/

3次元CAD/CAM活用で大手からの試作品の受注が増加

 ホームページでは、CADデータで1週間から1ヶ月で木型製作が可能と掲載しています。「アルミ鋳物の生産にCAD/CAMを利用しているところは珍しい」と豊田輝久社長は言います。製品開発の納期を短縮するには、いかに技術力のある企業と連携するかがポイントになって来ています。大手企業の製品開発者は、ホームページを検索しアクセスして来ます。CAD/CAMは、豊田望専務が中心になり平成9年4月に導入しました。その後、木型NC加工工場を新築しました。「当時は、CAD/CAMによるアルミ鋳物製造はほとんどなかった」と豊田社長は言います。現在は、アルミ鋳物だけでなく試作に関する加工を行えるようになったため、日本全国から引き合いが来ています。

見積依頼は、人間味あふれる自筆でFAX送信

 長川原金属のホームページには、製造能力が詳細に掲載されています。依頼側は、この一覧表と製造品目を元に見積依頼をしてきます。品質面でのトラブルを最低限に押さえられることになります。品質面では、ISO9002に準拠して社内体制や検査を行っています。「今のホームページからの見積依頼は、人間味がなく貰っても交渉の余地がない」と豊田社長は言います。そこで、豊田社長は、見積依頼には必ず自筆で記入し、FAXで送っています。受取ったお客様は、まだ値下げの交渉の余地がありそうだと交渉して来ます。ホームページからの見積依頼は、自動応答が多くなってきていますが、こだわりのお客様対応と言えます。

ネットを活用し新規事業PRへ

 新分野への取り組みとしてアルミ鋳物製造業のノウハウを生かした環境にやさしい製品の開発を行っています。自然材料を利用した製品を開発中である。「自然にやさしい製品は法律による規制がないと、なかなか既存製品との切り替わりが難しい。また、今後も新事業展開は、インターネットを活用して進めています。」と豊田社長は言います。

<ワンポイント>(by 関 信一)

日本の製造業は、生産拠点を海外へシフトさせ、製品開発拠点としての機能を高めて来ています。また、3次元CADの発達は、試作回数を減らし短納期で新製品の開発を可能にしています。この2社の事例は、自社の卓越した技術やネット活用による事業展開とネット・宅配便などのインフラを有効に活用すれば、日本と世界を相手に取引を展開できるという好事例です。

青木悠子からのメッセージ
 ネットの活用は、コアコンピタンス(強み)を徹底して生かすことが鉄則です。そういう観点では、製造業においては、特化した技術力があることがますます望まれます。しかし、それ以上に顧客に対するサービス強化ということが重要になっています。二例ともネットとリアルの世界でのサービスをうまく使い分けている点も、参考になります。

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