< 『にいがた商工連ニュース』2001年9月号掲載>
<横浜市・能見台−谷津坂村瓦版>
http://www.seaple.icc.ne.jp/~tnetk/
谷津坂村掲示板は、横浜の蕎麦屋「谷津坂屋」の店主、橋本さんが中心になって運営しているホームページです。「谷津坂屋」は、横浜市から30分ほどの能見台駅前にあります。能見台の商店街も他の商店街の例に漏れず、車社会に乗り遅れ、売上は下がる一方でした。橋本さんは、「車社会には乗り遅れたけれど、IT時代には乗り遅れられない」と、商店街の話し合いで、ITへの取り組みを提案しました。けれど、ITが登場したばかりで、商店街全体としての結論は時期尚早というものでした。
そこで、橋本さんは商店街全体ではなく、「谷津坂屋」としてIT利用を開始しました。蕎麦屋としてのホームページも作成しましたが、飲食店の商売は町全体が活性化してはじめて、繁盛につながるとの考えから、「谷津坂村掲示板」を立ち上げました。橋本さんには、商売繁盛だけでなく、町全体で子供の問題などを考えたいという思いも強くありました。
図表1〜5 (722KB)
(パワーポイントをお持ちの方で、IEご利用のみご覧になれます)
関東では、もともと蕎麦屋は飲み屋であり、蕎麦屋の二階が住民のコミュニケーションの場となっていました。橋本さんは、この「蕎麦屋の二階」をインターネット上に作ろうと考えました。そこで、掲示板をホームページ上に作り、地域住民のコミュニケーションの場にしました。蕎麦屋の店内にインターネットにつながったパソコンを置くと、早々とインターネットを始めていたお客様が声をかけてきました。こうして、次々に人が集まり、夜の9時を過ぎると地域の人々が、自宅で思い思いにお酒を片手にネット上での井戸端会議に参加するようになりました。
掲示板で話をしていると顔が見たくなるのは自然の成り行きで、頻繁にオフ会が開かれるようになりました。筆者もオフ会に参加したことがありますが、決して広くはない「谷津坂屋」の店内に溢れんばかりに人が集まっていました。商店主ばかりでなく、東京や横浜に通勤しているサラリーマンも大勢いました。勤務先が外にあるサラリーマンに、地域への関心を持って欲しいというのが、橋本さんの願望であり、その願いはITの利用で叶ったのです。
「谷津坂村掲示板」のホームページを見ると、駅前をリアルタイムで写すリアルビデオや、七夕の和太鼓の練習風景を流す動画など、技術がふんだんに盛り込まれています。これには、理由があり、能見台はケーブルテレビが早い時期から普及していたのです。しかし、橋本さん自身が、最初からこうした技術を使いこなせていたわけではありません。
「谷津坂村掲示板」に集まるサラリーマンには、コンピュータの技術者が多かったのです。この技術者が様々な技術を試しては、使える形にして持ち込んできました。「谷津坂村掲示板」のサポーターが出来たのです。
「谷津坂村掲示板」のホームページは、当初、橋本さんがひとりで運営していました。けれど、サポーターの数が増え、役割も増え、ホームページの内容も充実していきました。
たとえば近くのお寺でお祭りがあると、一日中リアルタイムで、その様子を放映しています。サポーターの人々が、カメラを持って境内を歩き回り、撮影してインターネットに送るのです。また、お祭りの予定や出し物すべてもサポーターの人々がホームページに載せました。その結果、橋本さんひとりでは出来ないような充実したホームページになってきています。
地域住民とのコミュニケーションを持つ傍ら、橋本さんは他の商店のホームページづくりも手伝っています。ホームページづくりを教えてあげたり、作ってあげることもあります。橋本さんのように、インターネット経験の長い人が手伝っているため、他の商店のホームページも、大変魅力的なものになっています。
その中でも、リサイクルショップの「ジュンポ」は、ネット通販が大変盛況になっています。
橋本さんや他のサポーターからの支援を受け、
画面でリアルタイムで商品を見せる仕組みを取り入れたのです。
能見台というひとつの町がインターネットの利用で、活気を帯びています。