<『飲食店経営』‘2000年6月号掲載>

ネット利用者の目を引く
HPづくりのポイント

 飲食店の場合、テレビで紹介されて繁盛店となる例が多い。テレビ番組での紹介は、無料の販促として願ってもないものだろう。しかし、思ったようにテレビ局が取材に来るわけでもなく、また、店側の意図通りに宣伝してくれるわけでもない。そこにインターネットである。
 インターネットの利用者は、2,000万人を超えた。ただ、数が増えたばかりでなく、毎日、インターネットを利用する利用者が多数を占めている。テレビ利用に、インターネットが追いついたという統計すらある(図−1)。
 また、インターネットで『ぐるなび』などの飲食店専用の検索エンジンも登場した。お客がインターネットで飲食店を探して訪れることが、当たり前になっている。

 こういう状況を反映して、ホームページ(以下、HP)を出す飲食店も増えている。しかし、残念なことに魅力あるHPは少ない。どのページも店名とメニュー、地図程度の定型的なページである。
 インターネットをうまく使えば、店側の意図通りに店をPRできる。そういう意味ではテレビより優れた宣伝媒体であるのに、もったいない話である。
 そこで、インターネットを戦略的に利用している例を参考に、飲食店でのインターネット利用のポイントを上げてみたい。


コンセプトを強調する

 インターネットの宣伝効果を最大にするポイントは、コンセプトをはっきりさせることである。インターネットと関係なく行列の出来る店はコンセプトのある店である。この傾向はインターネットでは、ますます強まる。
 トップページを見て、コンセプトのはっきりしないHPはお客を引きとめられず、お客はさっさと他のHPに移ってしまう。
 『天下一品』(図−2)のトップページは、見事である。見た瞬間にスタミナいっぱいのラーメンがイメージできる。

@こだわりの一品を登場させる

 『キッチンぶたのしっぽ』のHPには、「メインは何と言ってもこだわりのカレー」とある。お勧めの一品は、非常に重要だ。
 メニューが豊富なのは悪いことではない。しかし、最初にHPを見たお客を掴むには、「これを食べに来て欲しい」という提案が必要である。他のメニューは来店してから知って貰えばいい。

Aどういう店なのかはっきり主張する

 飲食店は、お客にとって入ってみないと分からない店である。気取った格式の高い店なのか、価格帯はどの程度なのか。HPは初めてのお客が感じるストレスを軽減するのに役立つ。
 てんぷら屋の『花由』は、「アツアツの天ぷらと家庭的なおもてなしを用意」している店だと言う。
 そば屋の『谷津坂屋』は、「毎日食べに来られるような値段を維持しながら『味』や『素材』にこだわった店」と主張している。

楽しさを演出する

 お客がHPを見るのは、飲食店を探すためだけでなく、楽しさを求めているからでもある。HPは楽しくなければ、ゲームやテレビに対抗できない。
 てんぷら屋の『花由』は、近所である隅田川沿いの「桜並木」、「花火大会」、「七福神」などの情報を楽しく提供している。
 すし屋の『まんぷく寿し』には、「仮想萬福寿司」のページ(図−4)がある。飲み物や鮨をチェックすると、料金とカロリーが表示される。ゲームのような感覚で遊べると同時に、当店の価格帯を知って貰える仕組みである。

メリハリある販促

 チラシやポスターは、一度作ったら終わりである。HPは、そこが大きく違う。更新していなければ、死んだページになってしまう。大変なように思えるが、実はそれがHPの大きなメリットである。

@季節情報を提供する

 食べ物は季節と切り離せない。季節ごとに提供できるメニューは、トップページでこまめに紹介したい。イタリアンパブの『ゆめのいち』では、メニューページの最初で季節ものの牡蠣やサーモンを紹介している。
 『まんぷく寿し』は、寒くなるとトップページで「鍋料理を始めた」などの案内を載せている。

A限定サービス

 飲食店のHPでは、クーポン券をつけるのが定番のようになっている。しかし、他の店でも提供しているサービスでは、面白みもありがたみも少ない。
 中華料理店の『やむちゃ厨房』では、中国の行事に合わせて、期間限定の安価なメニューを提供している(図−5)。期間限定サービスを始めると、HPでリピータ客を呼び込めるようになる。
 『ゆめのいち』では、女性だけのクーポン券を提供している。当店は女性が気楽に来店できる店をコンセプトにしているため、コンセプト確立に役だっている。

コミュニケーションツール

 HPの特徴は、常に更新できると同時に、お客とのコミュニケーションができるということがある。
 HPには掲示板が付けられるが、これは飲食店には価値あるツールである。また、メールマガジンなども利用したい。
 『ゆめのいち』の掲示板では、お客と店主との会話が頻繁に行われている。「HPはどんなふうに作るのか」といった相談、「予約時間を変更したい」、「料理の作り方を教えて欲しい」など様々な声が飛び交っている。
 また、『ゆめのいち』はメールマガジンで定期的にレシピを提供することで、お客とのコミュニケーションを継続させている。
 『谷津坂屋』では、HPを開設した当時、当店のメニューに対してメールで投票させ、人気メニューを展示していた。
 『やむちゃ厨房』では、味付けや値段、サービスなどについてのアンケートを実施して、答えてくれたお客に食事券をプレゼントしている。通販のHPでは、プレゼントだけが目的で購入してくれないということも多い。その点、飲食店での食事券のプレゼントは一度
店に足を運んで貰えるというメリットがある。

地域密着型利用

 インターネットを語る場合、世界や日本中がターゲットということが言われる。しかし、逆にインターネットは地域活性化の道具でもある。
 『谷津坂屋』は、HPを地域の人々とのコミュニケーションの場として、掲示板を「インターネットネット居酒屋」としている。毎晩、地域の商店主やサラリーマンがビールを片手にパソコンの前に座る。
 そば屋の二階は昔から、地域の人々のコミュニケーションの場であった。しかし、現在はサラリーマンは遠方に働きに行き、地域との関係は薄れている。当店のHPがサラリーマンと地域の商店主との新たな出会いの場となている。


 飲食店がインターネットを本気になって利用すると、様々な利用が考えられる。HP制作会社に全面的に制作を依頼していたのでは、インターネット本来のメリットは享受できない。
 定番のHPを出すだけでなく、自店でアイデアを出し、インターネットの生きた利用をして欲しい。
 近い将来に、インターネットで行列のできる店が続出する日が来ることを願っている。

『ぐるなび』
   http://gnavi.joy.ne.jp/
『天下一品』  
   http://www.tenkaippin.co.jp/
『キッチンぶたのしっぽ』
   http://sippo.net/
『花由』
 http://members.tripod.co.jp/Hanayoshi/
『谷津坂屋』
   http://www.seaple.icc.ne.jp/~tnetk/
『まんぷく寿し』
   http://www.nicnet.co.jp/imaike_t/manpuku/index.asp
『やむちゃ厨房』
   http://www.spiceroad.ne.jp/yamucha/index00.htm
『ゆめのいち』
   http://www2k.biglobe.ne.jp/~yumeno1/foodmenu.htm



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